ワールドチーズアワードに見るチーズ言語習得

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Cheese Judge Kanako Mathys

Academy of Cheese認定トレーニングパートナーであり、Culture & Culture 創立者のマティス可奈子は日本語を母国語とし、英語も堪能。そして、何よりも「チーズ言語」に流暢である。

高度な「チーズ言語」に流暢であるというのは、チーズについて一貫性を持ち、系統立てて表現することができるということであり、ワールドチーズアワード(WCA)のようなチーズ大会で求められる技能でもある。

国際的なチーズイベントとして最大規模級であるワールドチーズアワード2021年大会で、インターナショナル特別審査パネルの一員として、ステージ審査を務めたマティス氏自身が、大会での自身の経験を振り返りつつ、思うところを以下に綴る。

ワールドチーズアワードに見るチーズ言語習得


ワールドチーズアワード2021オビエド大会にて、光栄にもインターナショナルスーパージュエ リー、最終審査パネルへご招待いただいた。世界中のチーズ業界関係者が集う中、ステージ上 でチーズについて語る、しかも私にとっては外国語である英語でのディスカッション。緊張も するが、ご招待されたことにはそれなりの理由があるであろうと、この大役を引き受けること にした。


審査日の当日、午前の第一審査はチーム審査。チーム仲間数名(通常3名チーム)と相談しなが ら割り当てられた50種弱のチーズを約3時間かけて審査し、その中からナンバーワンを選ぶ。4回 目の参加ともなれば、この第一審査は慣れたもので、どんなチーズに巡りあえるのか、楽しみ な時間でもある。毎回、良きも悪しきも、びっくりするようなチーズに出会ことができる第一

cheese judging panel


審査の過程で、ここ数年、ずっと感じていたことがある。それは、回を重ねる毎に、自分自身 が前年よりもチーズの食感、味わいを瞬時に分かりやすい言葉で表現できるようになっており 、チームメンバーと建設的な議論ができていることである。これは、業界全体を通してチーズの 個性を表現するための共通言語が発達してきているからともいえる。前回のベルガモ大会での第 一審査は、生粋のイギリス人二人と私というチーム構成であった。つまり、いってみれば、チ ェダーやスティルトンを好みがちな方々とのチーム審査。アルチザンチーズの世界では、新興 国である日本で生まれ育った私は、その中でより中立的な立場で議論を交わすという役目を果た せた。

今回のオビエド大会でのチームメンバーは、日常的にパルメジャーノレッジャーノの品 質評価を行っているイタリア人とフランスでコンテの生産に関わっているというスペイン人。やはり、それぞれにパルメジャーノレッジャーノ、コンテやアルプス系の山のチーズに対する 見る目は細かく、厳しい。一緒に審査をしながら多くのことを教えていただいた。そして、スペ イン人であれば、スペインらしさを出しているチーズはまずは無条件に美味しいと思うようだ 。しかし、それぞれがチーズの外観、食感、香り、味わいの違いを互いに分かり合える言葉で 表現し始めると、建設的な意見交換となる。国境、背負う文化の違い、言語の違いを越えて、 チーズという食べ物を表現するための世界共通言語が発達してきている証であろう。上質なチ ーズはなぜ上質なのか?美味しいチーズはなぜ美味しいのか?育ってきた食文化背景が違う第 三者にそれを分かりやすく表現する知識と経験が求められるワールドチーズアワードでの審査 。この大会そのものの存在が、チーズの世界共通言語の発達に貢献しているのは間違いない。

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チ ーズ同様、言語も生きており変化し続けるものである。

個人的な経験になるが、日本人として このワールドチーズアワードでの審査という経験を重ね、The Academy of Cheese主催のセミナー やカリキュラム、さらには業界のテイスティングイベントに参加していく中で、チーズの外観 、食感、香り、味わいについて誰かと語り合う機会に恵まれ、チーズの個性を表現するための 語彙力を伸ばすことができた。そして、それが結果として、今回、最終審査パネルに参加した際 の自信となった。当日の第一審査、そして最終審査にかけるチーズを選ぶために、スーパーゴ ルドのチーズをテイスティングしていく過程で色々な国々のジャッジの方々とチーズについて 話しあったことは貴重な体験となり、自分自身に対する自信にも繋がった。結果として、ステ ージに上がり、チーズについて話しはじめた瞬間、いつしか緊張感もなくなり、スーパージュ エリー特有の役割というものを肌で感じることができた。

Judging Cheese for Japan

スーパージュエリーは自分がノミネ ートしたチーズの魅力について巧みに表現しながら、さらにステージ上の他の審査員の心を掴 まなければならない。チーズの外観、食感、香り、味わいを分かりやすく巧みに表現するには 、とにかく経験値を上げるに越したことはない。それはただ食べるだけでなく、テイスティン グをしながら、そのチーズの個性を言葉に落とし込むことである。言葉に落とし込むことではじ めて、チーズの表現語彙力が伸びる。The Academy of Cheese のカリキュラムでは、どのレベルで あってもチーズをテイスティングしながら、チーズの個性を表現し、言葉に落とし込んでいく という過程を通る。そこにはすでにガイドとなる語彙が準備されている。今回のワ―ルドチーズ アワードでの経験を通じ、自分のチーズ表現力というものを客観的に観察することができた。 チーズという食べ物の個性について言葉で表現するというスキルは、他のあらゆる食べ物の味 わいや食感、特徴を表現する際にも応用できるものである。2021年10月に日本で刊行された拙 著、「とっておきのイギリスチーズ」を執筆していた際にも、同じことを感じた。チーズの個 性を表現するための語彙力をある程度持っていたからこそ、本書を執筆することができた。The Academy of Cheeseのコースは、チーズに限らず、食を言葉で表現することを生業としている人 たちにぜひお勧めしたいコースである。

マティス可奈子
Academy of Cheese
Member / Training Partner

Kanako Cheese Trainer
KANAKO MATHYS – ACADEMY OF CHEESE WRITER

Academy of Cheese認定トレーニングパートナーであり、Culture & Culture 創立者のマティス可奈子は日本語を母国語とし、英語も堪能。そして、何よりも「チーズ言語」に流暢である。

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